ツンとデレ
「ツンデレ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ツンデレとは、簡単にいえば「ツン」と「デレ」という、一見正反対の態度をあわせ持つことです。
「ツン」は、そっけない、近寄らない、言うことを聞かない、知らん顔をする、といった態度です。
それに対して「デレ」は、甘える、寄り添う、安心して身を任せる、親愛の情を示す、といった態度です。
面白いのは、この二つが別々に存在するのではなく、同じ相手に対して「ツン」と「デレ」が行ったり来たりすることです。
日本文化とツンデレ
「ツンデレ」という言葉そのものは、日本の漫画・アニメ・ゲーム文化の中から広く知られるようになりました。
しかし、その背景にある「好意をそのまま表に出さない」という感覚は、日本文化と相性のよいものです。
好きだからといって「好き」とは言わない。
大切だからといって、いつも優しくするわけでもない。
そっけない態度の裏側に、親しさや信頼が隠れている。
日本には昔から、感情を直接表現するよりも、態度や間合いから相手の気持ちを読み取ろうとする文化があります。
そう考えると、ツンデレが日本で生まれ、これほど親しまれるようになったのも、偶然ではないのかもしれません。
動物にもツンデレはいる
そしてツンデレは、人間だけの専売特許ではありません。
代表選手が柴犬と文鳥です。
ただし、動物の場合はもちろん「ツンデレ」という性格が科学的に分類されているわけではありません。人間から見て、親愛と独立性の強い行動が交互に現れるため、「これはツンデレだ」と感じるわけです。
犬、猫、鳥などを見渡せば、ツンデレに見える動物はかなりいます。本サイトでは10種類ほどを「ツンデレ動物」として取り上げています。
ところが、これが意外に難しい。
単に人になつかない動物なら「ツン」でしかありません。反対に、いつでも甘えてくるなら「デレ」です。
ツンとデレの両方があってこそのツンデレなのです。
柴犬の場合
柴犬のツンデレは、とても分かりやすいものです。
飼い主が「おいで!」と呼ぶ。
聞こえているはずなのに、来ない。
こちらをチラッと見て、そのまま知らん顔をすることさえあります。
ところが、人間が諦めて別のことを始めると――。
今度は呼んでもいないのに、いつの間にかそばへ来て、体をくっつけている。
「呼ばれたから行くのは嫌。でも、自分から行くのはいい。」
この独立心の強さと親愛行動の組み合わせが、柴犬を代表的なツンデレ動物に見せています。
文鳥の場合
文鳥は、さらに強烈です。
飼い主の指を、本気で噛むことがあります。
「痛い、痛い!」
ところが、その直後。
さっきまで噛みついていた同じ手のひらの上で、安心しきって眠ってしまうことがあります。
噛むほど自己主張が強いのに、その相手を安全な場所として信頼している。
「嫌いだから噛む」「好きだから甘える」という単純な図式では説明しにくいところが、文鳥の面白さです。
ツンデレの正体は「嫌い」ではない
ここで大事なのは、ツンを単純に「嫌い」と考えないことです。
柴犬が呼ばれても来ないからといって、飼い主が嫌いとは限りません。文鳥が噛むからといって、飼い主との関係を拒絶しているとも限りません。
そこには、独立心、警戒心、気分、自己主張、距離の取り方、そして信頼関係など、いくつもの要素があります。
だからこそ、ツンデレは面白いのでしょう。
いつでも愛想よくしてくれるわけではない。
こちらの思い通りにもならない。
それなのに、ある瞬間、突然こちらへ寄ってくる。
「別にあなたのことなんか好きじゃない」と言わんばかりの顔をしながら、なぜか隣で寝ている。
人間も、柴犬も、文鳥も。
ツンデレの魅力とは、もしかすると、簡単には思い通りにならない相手から、ときどき見せてもらえる親愛の証しにあるのかもしれません。