第二部 食料文明国家構想(食が作る新しい日本)

食料文明国家という選択

― なぜ日本の未来は食料から始まるのか ―

はじめに

前回、私たちは経済成長神話の終焉を見てきました。
もちろん経済は重要です。しかし、経済成長だけでは日本の未来は描けません。

では、これから日本は何を目指せば良いのでしょうか。
その答えとして提案したいのが、
食料文明国家
という考え方です。

文明は何の上に立っているのか

第一部で学んだように、文明は食料の上に成り立っています。
どれほど優れた科学技術があっても、どれほど強い軍隊があっても、
食料がなければ国家は維持できません。

歴史を振り返れば、
   メソポタミア文明
   エジプト文明
   中国文明
   ローマ文明
すべて食料生産力によって支えられていました。

文明の土台

文化
政治
軍事
経済

日本の弱点

日本は経済大国です。しかし、文明国家として見ると大きな弱点があります。
それは、食料自給力の低さです。
食料の多くを海外から輸入し、肥料も輸入し、飼料も輸入しています。

平時には問題ありません。しかし、世界的な食料危機が起きたらどうなるでしょうか。
文明の土台を他国に依存することは、本当に安全なのでしょうか。

現在の日本

海外
食料輸入
日本社会
生活維持

食料文明国家とは何か

食料文明国家とは、単なる農業国家ではありません。農業中心国家でもありません。
その本質は、国家の最優先基盤を食料に置く という考え方です。
現在の日本
  • 経済
  • 社会
  • 食料
食料文明国家
  • 食料
  • 社会
  • 経済
順番を入れ替えるのです。

なぜ今なのか

戦後日本は、工業化によって発展しました。
しかし世界は変わり始めています。
   気候変動
   人口増加
   水不足
   食料価格高騰
   地政学リスク

21世紀は、エネルギーだけでなく 食料の時代 になる可能性があります。
今後、食料を持つ国が強くなる時代が来るかもしれません。

21世紀の資源

20世紀
石油
工業
21世紀
食料

エネルギー

地方再生と食料

食料文明国家のもう一つの特徴は、地方を重視することです。
食料は都市では作れません。田畑や森林、漁場が必要です。
つまり、食料を重視することは、地方を重視することでもあります。

地方再生は福祉政策ではありません。文明政策なのです。

地方と文明

地方
食料生産
国民生活
文明維持

新しい国家目標

明治日本には、近代化という目標がありました。戦後日本には、経済復興という目標がありました。
では令和日本はどうでしょう。
食料文明国家は、新しい国家目標になり得ます。
例えば、
   食料自給率向上
   農地保全
   水資源保護
   地方都市再生
   食育強化
   持続可能な社会
これらを一つの物語にまとめることができます。

文明国家の条件

本当に豊かな国とは何でしょう。GDPが高い国でしょうか。高層ビルが多い国でしょうか。もちろんそれも大切です。
しかし、文明という視点で見るなら、次の条件が必要です。
文明国家の五条件
   国民を養える食料
   安定したエネルギー
   持続可能な人口構造
   地域共同体
   次世代教育
これらを総合的に整える国家。それが食料文明国家です。

食料文明国家モデル

    教育
     ↑
共同体 ← 食料 → 人口
     ↓
   エネルギー

まとめ

食料文明国家とは、農業国家への回帰ではありません。
文明の土台を見直す国家戦略です。
経済を否定するのではありません。経済を文明の土台の上に置き直すのです。
今の日本に必要なのは、失われた成長神話の代わりとなる新しい物語です。

その第一歩が、食料文明国家という選択なのです。