第二部 食料文明国家構想(食が作る新しい日本)

なぜ日本は自信を失ったのか

― 豊かになった国が、なぜ未来を信じられなくなったのか ―

はじめに

戦後の日本は、世界でも例を見ないほどの成功を収めました。
焼け野原から出発し、
   * 世界第二位の経済大国
   * 高品質な工業製品
   * 安全な社会
   * 豊かな食生活
   * 長寿国家
を実現しました。
本来なら、日本人はもっと自信に満ちていても不思議ではありません。
しかし現実はどうでしょう。
多くの人が、
「日本は衰退している」
「将来が不安だ」
「子どもたちの未来が見えない」
と感じています。
なぜ日本人は自信を失ったのでしょうか。

日本人は本当に貧しくなったのか

実は、日本人は絶対的には貧しくなっていません。
   街には商品があふれ、
   電気も水道も安定し、
   スマートフォン一つで世界中とつながれます。
戦後直後と比べれば、圧倒的に豊かです。
それでも不安が消えない。
理由は、
「昨日より今日」
「今日より明日」
が良くなるという実感を失ったからです。

豊かさと幸福感

戦後
生活向上
希望
高度成長
さらに向上
期待
現在
生活は維持
未来不安

成長神話の終焉

戦後の日本には一つの物語がありました。
それは、「経済成長すれば幸せになる」という物語です。
給料は毎年上がり、家電が増え、車を持ち、家を建てる。
誰もが明日を信じられました。

しかし1990年代以降、バブル崩壊によってその物語は終わります。
以後30年以上、日本は新しい物語を作れませんでした。

なぜ未来が見えなくなったのか

日本人が感じている不安の多くは、実は経済だけが原因ではありません。
   * 人口減少
   * 少子高齢化
   * 地方衰退
   * 食料自給率低下
   * エネルギー依存
   * 国際競争激化
こうした問題が同時に進行しています。
つまり、「国全体の将来像」が見えなくなったのです。

現在の日本が抱える課題

人口減少
労働力不足
経済停滞
食料依存
安全保障不安
地方衰退
共同体崩壊
未来像喪失
自信喪失

本当の問題は「目標の喪失」

明治日本には目標がありました。> 欧米に追いつき追い越せ
戦後日本にも目標がありました。> 豊かな国になろう

では令和日本の目標は何でしょう。実は誰も答えられません。
目標を失った国家は迷います。
企業も同じです。家庭も同じです。国家も同じなのです。

文明から見る日本

第一部で見てきたように、文明は食料によって支えられています。
しかし現代日本は、食料の多くを海外に依存しています。
つまり、文明の土台を自国で十分に支えられていません。
経済だけを見れば豊かです。
しかし文明の基盤という視点で見ると、別の姿が見えてきます。
ここに、現在の日本人が感じる漠然とした不安の根があるのかもしれません。

戦後日本の物語

戦後復興
高度経済成長
豊かな日本
バブル崩壊
物語消失
未来不安

食料文明国家という新しい物語

人は物語なしには生きられません。国家も同じです。
今の日本に必要なのは、単なる経済成長ではなく、
「どんな国を目指すのか」という新しい目標です。
本連載で提案するのが、食料文明国家 という考え方です。

食料を文明の土台として再評価し、
地方を再生し、
持続可能な社会を築く。
それは単なる農業政策ではありません。
日本という文明を再設計する構想です。

まとめ

日本人が自信を失った理由は、
貧しくなったからではありません。
未来の物語を失ったからです。
明治には近代化がありました。
戦後には復興がありました。
では令和日本は何を目指すのか。

その答えを探る旅が、第二部「食料文明国家構想」です。